給料日の翌日、口座残高を見ながら首をかしげたことがある。
入ってきたはずのお金が、思ったより少ない。家賃も光熱費も変わっていない。外食を控えた月だった。なのになんで……と、スマホの明細を一行ずつ指でなぞって、やっと気がついた。
保険料、3万5千円。
毎月、当たり前のように引き落とされていた金額。でも「3万5千円」という数字を改めて目にしたとき、なぜか急に重く感じた。
「高いかも」と思いながら、3年放置していた
正直に言う。おかしいと感じたのは、あの日が初めてじゃなかった。
きっかけは、父だった。
「いい保険を見つけたぞ。一緒に入ろう」
入社して間もないころ、そう言われた。父が勧めるなら悪いものじゃないだろう、という安心感があった。担当の方が自宅に来て、テーブルに資料を広げながら説明してくれた。
「これは米ドル建ての終身保険です。保険と資産運用が一緒にできる、とても優れた商品で——」
投資と保険が一度にできる。一生涯の保障。家族のためにも、自分のためにも。
当時の私にはそれが、すごくいい話に聞こえた。死亡保険金の受取人は母に設定した。「もし私に何かあったとき、お母さんに残せる」——そう思うと、むしろ入らない理由がなかった。
毎月引き落とされるたびに「高いかも」とは思っていた。でも父が勧めてくれた保険を「やっぱりやめます」とは言い出しにくくて、「いざというとき後悔したくない」という気持ちもあって、3年間ずっとそのままにしていた。
思い切って、保険証券を読んでみた
あの日、口座明細を見てから、引き出しの奥に眠っていた保険証券を引っ張り出した。
読んだことは、一度もなかった。
改めて整理してみると——
- 死亡保障:2,000万円(独身で、扶養家族もいないのに)
- 特約:5種類以上(名前を読んでも何の保障かわからないものも)
- 月額保険料:35,200円
これを年間に換算したら——
42万2,400円。
声が出た。
「3年分って……126万円以上、払ってたってこと……?」
怒りとも後悔ともつかない感覚で、しばらくその数字を見つめていた。
「本当に必要な保障」だけに絞ったら、こうなった
感情が落ち着いてから、ちゃんと考えた。
「今の私に、何が必要か」を。
独身。扶養家族なし。持病なし。2,000万円の死亡保障が必要な理由は、正直どこにも見当たらなかった。
見直した結果、残したのはこの2つだけ。
| 保障内容 | 月額保険料 |
|---|---|
| 掛け捨て医療保険 | 約3,200円 |
| 最小限の死亡保障 | 約1,500円 |
合計、約4,700円。
毎月の差額は3万円以上。年間で37万円以上が手元に残るようになった。
浮いたお金は、そのまま積立NISAに回した。保険料を「払い続けるだけのお金」から、「育てるお金」に変えた瞬間だった。
怖くなかった。むしろ、すっきりした
見直す前は、正直怖かった。
担当の方に申し訳ない気持ちもあったし、「解約したらもったいない」とか「やっぱり何かあったらどうしよう」とか、いろんな不安が頭をぐるぐるしていた。
でも実際にやってみたら、思っていたより全然怖くなかった。
手続きも思ったよりシンプルで、担当の方も丁寧に対応してくれた。そしてなにより、終わった後の気持ちが想定外にすっきりしていた。
「ちゃんと自分のお金と向き合えた」という感覚。それだけで、十分だった。
お金って、知っているだけで変わる。 難しいことじゃなかった。ただ、知らなかっただけ。
💡 まず確認してみること
- 毎月の保険料の合計金額(口座明細でチェック)
- 死亡保障は「誰かに残すお金」→ 独身・扶養なしなら大きな保障は不要なことも
- 特約の名前と内容を一つずつ確認する
- 「何に備えているのか」が自分の口で説明できるか